日本のキリスト教ジャーナリズムの筆頭はキリスト新聞だろうと思うのですが、その巻頭にある標題「キリスト新聞」の文字の両側に、アッピールの２行の文字があります。
　創刊者賀川豊彦先生の撰文だったはずですが、曰く、（一）平和憲法を護れ。（二）再軍備絶対反対、の２句です。
　なるほど、これしか無いだろうと思いますが、また、これしか書けないのだと察すると、同情に耐えないのです。
（一）も(二）も、あまりに当たり前すぎて、圧力がありません。つまり、今は全世界に平和が行き渡っているため、それを現状承認しただけの言葉に終わってしまうのです。戦前の「大政翼賛」に似ています。大政翼賛（この言葉の虚しさ、腹立たしさを覚えて居る人は今何人くらい日本にいるでしょうか）式の言葉で、聞いても、読んでも、あくびが出そうです。
　もっと刺激的な言葉で、いま日本の現状を突き上げることは出来ないものでしょうか。例えば、こうです。
（一）日本国憲法の前文を書き直せ。
（二）自衛隊をぶっつぶせ。
（一）で言いたいのは、日本国憲法の絶対平和主義を、その支えとして世界の友好国の理解援助を期待しているだけでは情けないということです。世界中から反対されても、この絶対平和主義を護るとは言えない、日本政府の気弱さ。この気弱な前文に気づかない国民の無関心。「平和憲法を護れ」などとは恥ずかしくて口に出して言えません。
（二）では「再軍備反対」とは何を今更、白々しいことを言う？　ということです。
　すでに、自衛隊を持っていて海外派遣までしている国の国民の言えることではないでしょう。キリスト新聞としては、もっと極言してほしい。「（二）再軍備絶対」を謳うどころか、日本の絶対平和主義を貫くため、現状の自衛隊を放棄して、「今後絶対に偽装再軍備をしません」と言い抜くべきなのです。そこで首尾一貫すると言えるでしょう。