「信仰」という言葉は、語感から言って少し適切でないように思います。「神を真実とする」と言ったらどうでしょう。
　両親の言いつけ、妻の要請、国の法律、学生の言い分、科学の推論、どれもこれも尤もであって、教養の無い私にはどれも一つとして反論できません。
　けれど、それら凡てにまさって、私は神を真実としたいのです。私はマルクスや毛沢東にまさって、神を真実とします。私は日本民族や天皇にまさって、神を真実とします。ニュートンやアインシュタインやトインビーにまさって神を真実とします。私は民主主義やヒューマニズムや平和主義にまさって神を真実とします。
　どれ程、世間が大事にし、国が重んじ、新聞や国連が推賞しても、それよりも神を重んじましょう。私にとって、それよりも神が大切だ、神が真実だ、神の側につこうと、断言します。金とか、生命とか、独立とか、科学とか、階級とか言いだすと、人はすぐ迷うものです。
　たとえば、学生諸君にとり、学校生活において何が大切でしょうか。「成績」か「友人」か。否、大切なのは「神」なのです。たとえば、結婚生活に於て、何が大切でしょうか。「妻」か「子供」か、「幸福な家庭」か、否、やはり「神」です。
　神といってもバク然として、掴みにくいでしょうが、まず「神」を求めなさい。神の実在がわかるとき、はじめて、本当の信仰が生じるものです。