「あなたがたは、常に主にあって喜びなさい。もう一度、私は言うが、喜びなさい。」（ピリピ４：４）

「あなたがた」という言葉はギリシャ語では、わざわざ使わなくても意味は通じるので、「あなたがた」と強調していることが感じられます。「常に」という言葉は、ある翻訳では「どんな時でも」と意訳しているようです。親切な訳ですね。「主にあって」の「あって」は、英語で言えば、inです。「主の内にあって」と訳せる言葉です。
「喜びなさい」は、端的に「喜べ」と訳すほうが良いでしょう。まして屡々「喜んでいなさい」と訳すことがありますが、これは拙いです。「喜んでいる」という人の態度は「ニコニコ平安に喜んで居れる」姿を表しているが、ここで「喜びなさい」という命令語は普通の人間心理では不可能な命令語です。人は他人から「喜べ」と言われて単純にすぐ喜べるようなものではありません。
「美味しいものを食べさせる」とか、「お気に入りの友人を連れて来る」とか、喜べるような条件や環境を備えてあげなければ喜ぶ事は出来ません。ところが、この聖書の個所では「環境も条件も」そろえてあげなくて、たとえばお菓子もお寿司も与えなくて「おいしいかね」と言うようなものなのです。
　しかしここでパウロは主の臨在の伴う信仰の賜物を与える時、喜びが湧いていることは分かっていますから、「さあ、遠慮せずに大いに喜びなさい」と命じているのです。つまり「喜びを大胆に表現しなさい」と命じているのだと読むのも面白いでしょう。
　心に喜びが溢れていれば、表情ににこやかな笑いが生まれるのは当然ですが、それをもっと、更に大きく手足も踊るかのような身振りで表現するのは周囲の人々に豊かな共感を呼び起こすことにもなります。
　主より信仰を頂くと、その人の心には、おのずから喜びが湧く。喜びが湧けば、自然に笑いの表情が起こり、この生理的機能が繰り返されると、人間の心には更に幸福感が浸透する。
　これが私が「笑えば必ず幸福になる」という法則を打ち出した理由なのです。だれも内心知っていることでありながら、それをあたかも定理のごとく言い出せ得なかったのは不思議ですが、その虚をついて私がわがもの顔に「笑えば幸福」の定理を打ち出したのです。実は昔から人々は知っていたことです。日本の地方に、よく「笑い講」という風習がありましたが、それも同じです。
　この定理は「笑えば必ず幸福になる」という小冊子の中で例を上げたように、子供たちが「泣き真似」をしていると、いつの間にか本物の「泣きじゃくり」になるという面白い現象に見られる、ごく普通のことなのです。我々大人も子供の時のことを思い起こせば誰にも記憶にあるでしょう。
　そこで使徒の言う、「喜びをなせ」という言葉を私流に言い直すと、子供の泣き真似ではないが、あなたが幸福になろうと思ったら、「笑い真似をしなさい」と言うのです。心では泣きたくなるように辛い時でも、腹が立ってカンシャクが起こりそうな時でも、「笑う真似をしなさい」と言うのです。
　そうです、口を大きく開けて、大きな声でワッハッハッハと、手を振り、足を振って、笑うんです。そうすると、初めは「何をしているんだ。バカバカしい」と阿呆らしくなるでしょうが、一生懸命、真剣に、大分の方言で言えば、シラシンケンに笑って下さい。そうすると、次第にあなたの心に喜び、楽しい気分が湧いてきます。
　これを鏡の前でなさると良いでしょうねえ。面白半分でやってよいのです。面白、可笑しく、マンザイをやっている気分で続けてください。次第に気分転換が起こります。愉快になります。
　これは、やってみれば誰にでも出来ます。単純です。あなたにも出来ます。人生を愉快に幸福に過ごす秘法です。
　ここで改めてもう一度、提言します。みなさん。「笑えば必ず幸福になる」のです。