きょうのテ−マは、「私たちは正しい人間になってから神様に帰ることができるのか、神様に帰ってから正しい人間になることができるのか」という問題です。新約聖書マルコによる福音書第１章15節をまず、お読みいたしましょう。イエス様のお言葉であります。
　「時は満ちた。神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」
　このお言葉の中で一番大切なのは「悔い改め」という言葉であると思います。「悔い改め」という言葉について、多くの方々がこう考えると思うのです。
　過去の罪を洗いざらいにざんげして、盗んだものは返し、嘘を言ったことはあやまる。そこである人は大学の卒業試験でカンニングをしたことを告白して卒業証書を大学に返しに行ったなどという実話もあります。このようにして過去の罪や過失を告白し始末し、罪を浄め、心をすっかり洗ってしまってから、神様のもとに帰ることができる、と思われるのですね。
　ところで、大半のかたは次のように考えるのではないでしょうか。
　「そうです、私は過去に悪いことを一杯しています。罪をたくさん背負っています。懺悔したいです。人を殺したとか、ス−パ−に強盗にはいったとか、そんなことではないけれども、でも良心に照らしてみて心に痛いことがたくさんあります。ですから、懺悔もしたいし、始末もしたいことがいろいろあります。しかし、そんなことは恥かしっくてできません」
　つまりプライドが、その人が神様に帰ることをさまたげている、そして苦しんでいる、こういう方は多くおられると思いますね。
　その方々におすすめしましょう。
　もちろん、すべてのことを告白、実際上の始末をすることは善いことです、尊いことです。しかし、それが出来ない人が多いのですね。それが人間の弱さです。そして、イエス様はその人間の弱さを知って居られます。
「弱い人は弱いまま、罪や悪を持ったまま、そのまま私のもとにきなさい」と、イエス様はおっしゃるのです。
　そうです、「時は満ちた」！　この場所で「イエス様、このつまらない私を受けいれてください」と神様に帰って行く、それが「悔い改め」です。「悔い改め」とは心の転換です。神様の懐に帰って初めて、私たちは本当に正しく、強い人になれるんです。その時はじめて、世間の見栄や損失を恐れず、真に「悔い改め」る人になれるのです。