「なんじもし悩みの日に気をくじかば、なんじの力は弱し。」(箴言24・10　倣文語)
　一個の人間のありようを聖書的に絵に描きますと、中心に「霊」、その周辺に「魂」、一番外側に「肉」ということになります。「魂」は心ないし精神と言ってもよいのです。日本語では普通、霊も魂も同じように扱いますが聖書では特別に厳密に使いわけています。英語で言えば霊はスピリット、魂はソウルです。
　罪人の霊は死んでいます。イエス様を信じる時、聖霊が霊の領域にそそがれ彼の霊は活きたものになります。つまり新生であります。新生した霊の活力が魂を賦活させて、見るからにイキイキした人物に変化するのです。これが聖化です。
　さて魂（心、精神）の領域は心理学的に大まかに分けると、意志、感情、知性の三分野になります。この中で最も中核をなすものは意志です。人間の人格とは意志であると決めてしまっても、さして誤りではありません。
　ところが、実際の人間の生き方をみると、大抵の人が感情に押し流されて生きています。人格とは感情であると定義づけたほうが余程正しく思えます。
　多くの心理学者は意志や知性よりも感情のほうが強力であるといっています。たしかに、蛇は蛇でも青大将はまむしなどと違って怖くはないと知性では知っているし、また怖がるまいと意志で努力してみるのですが、実際に青大将をみると気味がわるくて近づくのもイヤである、といったことになるのです。
　けれども知ってほしいのです。信仰とはある意味で人間本来の意志の回復です。エバが知恵の実を見て「見るに麗しく食べるにおいしそうに見えた」という感覚器官を媒体にした感情に負け、意志をくじいてサタンに降伏させた時から、意志の自由が無力となり、サタンの誘惑、詐欺、脅迫に勝てなくなったのです。しかし、もしあなたがクリスチャンとなり霊において活きているのなら、これまでのように気弱にならず、意志の力を信じて強力に決心しなさい。発願しなさい。目標に向かって発進しなさい。努力を継続しなさい。
　気をくじくのはこれまでのサタンに負けつづけてきた記憶が、あなたをだまし脅かしているに過ぎません。意志決定の最初の出発点で心がくじけるとき、折角の力が発揮できなくなります。主にあって心を強くしなさい。