よく家電などの売出しの広告に、メーカー希望価格の数字を載せて、それに棒を引き、自分ところの売出し価格を書いてあるのを見ます。ところで、私たち自身は自分を幾らぐらいに値積もっていることでしょうか。
　私たちの造り主なる主は、私たちをその一人が全世界よりも重いと言ってくださった（マタイ16・26）。主は私をよく知っておられる方である（詩篇139・１）。この主が私をよくよく見抜かれて値積もりされたその価格をディスカウントすることはやめよう。
　モーセやエレミヤが神様の召命を受けたとき、彼らが自身を低く評価して神様の召命を断ろうかとしたことを私たちは知っています。それは謙遜ということかもしれないけれども、人間に対する謙遜はそれでいいかもしれません。ただ、神様に対する謙遜とは、従順に従うということであって、けっして卑下することではないのです。神様に対して卑下するということは傲慢にほかなりません。
　卑下するという神経は全く面白いもので、人に対して卑下するのはしばしばおべっかに過ぎず、しかしそれは、まあ許されないこともないでしょう。しかし、自分自身に対して行なう卑下がもっともよくないのです。これは自己否認です。うさぎが自分の体をホトケ様に捧げたという仏説がありますが、健康な体を捧げてこそ本当の奉献であり、真の自我放棄です。不健康な死にかけた体を捧げたところで何になりましょう。自己否認は、けっして自我放棄ではありません。それは悪魔への敗北、自己の弱さへの心中沙汰、神様の召命への反逆なのです。
　イエス様は天の父なる神様が「お前こそ我が愛する者、我が心にかなう者である」と言われたとき、「いいえ、私はそんなもんじゃござんせん」などと遠慮しませんでした。卑下しなかったのです。彼は心底からそのとおりだと思い、そのとおりだと信じたのです。それがイエス様です。イエス様は神様の値づけを信じてディスカウントしなかったと言えます。
　私たちもイエス様の真似をして神様からの評価を信じましょう。それが信仰というものです。衛星放送を受けるようにアンテナをまっすぐにイエス様に向けて仰ぎ見、彼よりの信任と評価をそのまま受け取ることが最良の道なのです。
「イエスを仰ぎ見つつ走ろう」(ヘブル12・２）。