｢杖が自分をあげる者を動かすことがあろうか｣(イザヤ10･15)と神は言われます。しかし、おごれる人間はしばしばそれをやるのでする。
　チャプリンの映画『モダン･タイムス』でしたか、労働者が機械に巻き込まれ、機械に追い使われるようになる場面があります。当時の動力機械による生産が盛んなりし頃の風刺です。もう70年も前の映画ですが。
　人が梃子を使って石を動かそうとした時に梃子がはね返って人を動かしているように見えることもあります。でも、本当ににはね返って、木にでもぶら下がって喚いている人をみれば笑ってもいられません。
　現代の精神世界で発見された「動力」があります。これで人を健康にし、成功に導くと言います。潜在意識であり、脳内ホルモンです。確かに、謙虚に用いている間は結構なのですが、人はしばしばそれで鬼の首でも取ったように誇ります。そして禁断の実を口にいれることになる。
｢それゆえ主は肥えた勇士の中に病気を送って衰えさせる｣(イザヤ10･16)時が来ないと言えるでしょうか。
　はなはだ心配ではあります。