私は17世紀のカトリックの修道士・ラウレンシオ（日本のプロテスタント教会ではブラザー・ローレンスとして知られている）の「神の現存の体験」という本を聖書につぐ座右の書として愛読しています。時々、どこでもよい、開いてみた所に珠玉のような言葉を見いだすのです。
　たとえば、きょう開いたところでは、
「私たちのすべての行為が、どれこれの区別なく、みな、神との小さい語らいの一種となるように……」
　とあります。「語らい」とは人格と人格との交わりです。これこそ神秘主義的体験であります。
　私は器量も根気も小さいのです。若い時から、座禅、ヨガ、日本の古来の霊的神道、イスラムの新興宗教、断食、滝打ち、徹夜祈祷、火渡り、様々な修行をしましたけれども、どれも大した成果を上げられませんでした。まったく失望しました。
　でも、このラウレンシオの言葉は私におおいに希望を与えてくれました。これは最も身近で、だれにも出来そうな純粋な神秘主義であると思えますから。