かなり前のことですが、星野富弘さんの詩画展に行ってきました。何よりも大変な人出に驚いたのです。地元の新聞社が主催すると、こんなに動員できるものかとビックリしましたね。
　展示作品を拝見すると、やはり印刷したカレンダーや絵はがきとは断然違います。本物の強さか、絵を前にして涙ぐんで感動している人もたくさんいました。やはり、人はみな、やさしいんだな、柔らかい魂の持ち主なんだな、と思います。そう思わせただけでも、あの詩画展は成功だったでしょう。
　ただ、キリスト信仰のことをもっと表面に出してくれたら良いのになあ、と思ったのも事実です。
　しかし、あの列を作って入場を待っているような人々にトラクト（伝道のためのパンフレットや小冊子）一枚くばろうとした教会は私どもの教会を初めとして一つもなかったのではないでしょうか。伝道不熱心にも程があると思います。が、しかしそこにも何らかの意味があるような気もするのです。
　信仰をはっきり打ち出す三浦綾子さんの小説とは違って、やんわりと信仰を内に包んで表に出さない星野さんの絵と詩。そこにキリストの香りが馥郁（ふくいく）と香っている。だからこそ、多くの人々がこの作品の前で心を打たれたのでしょう。これらの方々を追いかけて、あらためて星野さんの絵入りのトラクトをたくさん作って配りたいものです。