ある人がどんぐりの実を拾って言いました。
　「この実には沢山のどんぐりがつまっている。何千も、何万ものどんぐりの実がつまっている」と。
　もちろん、このどんぐりの実が土のなかに埋もれ、多くの日の後に成長して、その枝に何千、何万の実をみのらせることを言っているのです。イエス様のお言葉を読みましょう。私の翻訳でお読みしたいのですが、新約聖書ルカによる福音書第17章５節、６節です。
　「使徒たちは主に「私たちの信仰を増してください」言った。そこで主が言われた。
「からし種一粒ほどの信仰でよい。その信仰を持ちつづけなさい。そして、この桑の木にむかい《根こそぎ抜け出して海に植われ》と言いつづけなさい。桑の木はあなたがたの言葉に従うでしょう」
　からし種は世界で最も小さな種であるけれど、成長すると野菜のうちでも最も大きな木になると、イエス様が別のところでおっしゃったことがあります。小さなからし種の実の中に、野菜のうちでも最も大きな木になるという、夢が、約束が、命が、こめられているというわけです。とは言え、よく本屋さんの棚にならんでいます「大きな夢や幻を目標として立てて、それを実現に至らせる成功の法則」をただ、無原則に信仰の法則として聖書は奨励しているわけではありません。
　聖書を開きますと、あのダビデという王様が、「神様より『お前のために家を建てよう』との言葉をいただいたので、私はその祈りをする勇気を得ました」と感謝しているところがあります。
　目標である夢や幻を神様から頂いているところが肝心です。
　もちろん「大きな目標を心にいだいて祈りました。その祈りが聞かれて、こんな成功をした、こんな実現を見ました」というような信仰実話を沢山聞きます。それは良い信仰と祈りの実例というより、神様のあわれみの実例と言うべきであることも多いようです。時に子どもの我が儘を聞いてやるのが、親の愛であるように。