道路上で空き缶を見たら、蹴っとばしたくなる。あるいは、負け犬をみると、石を拾って投げたくなる、こういう心理が我々にはあるようです。「いや、おれには無いよ」と言われると恐縮して、申し訳ありませんというだけですが。
　でも、わたし個人のことですが、心をさぐってみれば、ささやかでも、そういう心があるようです。
　先日、散歩先で執達吏の財産差押えの紙片を貼ってある建物を見ました。多少、事業経営の経験がある私は、債権債務の摩擦や確執の実際を知っています。いろんなことが想像出来るのです。
　そこを去って、しばらくして驚きました。私の心に僅かではありますが、その債務者を見下したような憐憫の情、あるいは債権者を無情な奴ではあるまいかと本人を知りもしないのに、疑ったり、蔑んだりする感情が働いているのです。
　以前、Ｓ姉がお証しをしていました。心の倉に悪いものがあると、悪い言葉が出る。悪い行為も出る。だから悪い思いを持たないようにしましょう、と。私は「うん、うん、良かったね。よく、そこが分かったね」と先輩気分でした。
　でもどうでしょう。以上のように悪い思いというものは心に根強く染みついているものです。
　こうした心の倉の清掃器があるとよいですね。