1865年、アメリカで奴隷制度が廃止された時、この知らせを聞いたアメリカの奴隷たちはどんなに喜んだことでしょう。しかし情報の伝達の遅い田舎では、残酷な主人のもとに奴隷たちは何も知らされず、昔のまま追い使われていました。
　しかし、いつか彼らもその事を知る日が来ます。たとえ無慈悲な主人が不法にも暴力的に彼らを束縛しようとしても、彼らは具体的な解放を望んで主人との戦いや、脱出など、いろいろなことを試みたことでしょう。
　信仰の最初は大抵、「罪責感からの解放」から始まります。心の内側に主の御血潮によって「あがなわれ」救われているという確信を持つことです。しかし多くの人々は相変わらず地上の習慣や罪の生活になじんで、なかなか信仰の勝利や、聖化を獲得できないでいます。そして、これではならじと実際に内面生活や社会生活の上での勝利と聖化を求め、それを期待し、その祈りと努力を始める人もいます。それは、解放令を知った元奴隷の人々に似ています。具体的な「完全な解放」が必要なのです。
　つまり、全ったき「あがない」です。弱々しい信仰の境地を捨て、喜びと力と確信に満ちた雄々しい明るい人生へと脱皮させるのが、その力なのです。