日本語が起源の英語は少なくない。
　古くは、Geisha、Judoなどであろう。近年では、Manga、Anime、Otakuなどであろうか。

　さて、去年のことになるが、特異な方面に奇才を有する友人から、無料で閲覧できるインターネット上のエロ動画サイトを教えられた。
　いわゆる裏ビデオを無料で鑑賞できるわけで、こんなうれしい話はない。ただし、英語版だが、エロ動画を鑑賞するぶんには語学力はほとんど不要である。

　以来、筆者は比較研究のためもあって、しばしばそのサイトをのぞいている。
　ちょっと弁解めいた書き方になった――。
　この際、はっきり言おう。いまさらカッコつけてもしかたがない。
　正直に言うと、スケベ的関心が第一である。しかし、それだけではなく、知的好奇心もあったことを付記しておきたい。つまり、江戸の春画との比較である。それはともかく――。

　同サイトには膨大な数の、そのものずばりの動画が公開されているが、数が膨大なだけにいちおうジャンル分けされている。
　日本語でいえば、
　フェラチオもの
　アナルもの
　熟女もの
　３Ｐプレイもの
　盗撮もの
　などなどである。

　ざっと分類をながめていて、ギョッとなった。
　Bukkake
　という表題を目にしたのである。
「いったい、これはなんだ？　まさか……」
　筆者は好奇心に突き動かされ、そこにある動画を次々と見ていった。
　要するに、AVでいうところの「顔射」ものだった。女の顔に向けて射精するというものである。
　我が国のAV業界では、顔射を業界用語で「ぶっかけ」と呼ぶらしい。その業界用語がそのまま英語になったのである。
　日本人として誇るべきであろうか、嘆くべきであろうか。それとも、ここは笑うべきなのであろうか。

　筆者はギョッとしたと先述したが、逆に来日した外国人もギョッとするのではなかろうか。
　たとえば、外国人が讃岐うどんの店にはいる。
　店員が威勢のいい声で注文を厨房に通しているではないか。
「ぶっかけ一丁！」
　それを聞き、外国人は、
「えっ、Bukkake！？」
　と仰天する。
　きっと、こんな場面もあるに違いない。

　相変わらずのエロ話になってしまったようだ。