付録　某月某日

　キジバトを放した翌日、かなり早い朝である。眠りの浅くなった耳に「デデポッポー」と聞こえた気がした。
　鳩騒動があってから、なぜか早起き。可燃ゴミを出しに行くと、家の前の電線にキジバトが一羽止まっていた。あいつのわけがないか……。未練たらしく見ていたら、もう一羽、飛んでくる。しっかり確認しようと、カメラを取りに戻る。望遠レンズで覗こうというのだ。
　が、戻ってきたところで、鳩は大家さんの庭の茂みに入ってしまう。カメラを持って、しばし散歩。すると、猛禽類のような鳥がこちらへ飛んでくるではないか。小さいが、かなりのスピードだ。その後ろを少し小さめの鳥が追って来る。こちらの速度はそれほどでもなく、よく見るとキジバトだ。実は、後で知ったことだが、鳩は他の鳥を威嚇するために、時に猛禽類のような格好で飛ぶことがあるらしい。
　鳩は大きく旋回。しばらくすると戻ってきた。一羽は茂みに姿を消したが、もう一羽はその横の街灯に止まった。私がカメラを構えて近づくと、どうしたものか、という感じで体を揺すっている。カメラのシャッターを押すと、驚いたように茂みに入ってしまった。
　朝食の時、家人にこの話をすると、「あの鳩のわけないよ」と一蹴される。写真に映っていた鳩は巣づくりでもするのか、細い木の枝のようなものをくわえていた。
　だから、私は家人に言った。
「あいつじゃないかも知れないけれど、あいつのお母さんかも知れないよ」と。

　さて、本サイト連載の「ルキチャン」に対抗して、キジバトの四コマ漫画化を目論み、家人と競作。
　それが、これ。どちらが私の絵かは、言わぬが花でしょう。
　両方とも、ほとんどダウンタウンの浜ちゃんなみの「バカ画伯」の絵である。
　これじゃ、とても漫画化などは無理と判断して、とりあえずここで発表するに留めることに。

【おわり】